森口織人の陰陽道(2)

森口織人の陰陽道〈巻ノ2〉 (電撃文庫)
森口織人の陰陽道〈巻ノ2〉 (電撃文庫)おかゆ まさき

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ストーリー(変えてない)

遥奈原初雪(はるなはらはつき)様は美少女であります。
その美少女っぷりは「完膚無きまでの美少女」とも言うべきものであります。しかも化け物を調伏する霊力を持っていたりもする表も裏も本物の完璧なる美少女でした・・・のですが、たった一つだけ重大な欠点を持っていたのでした。
初雪様はその強力な霊力によって妄想の内容がココロの外側に漏れだしてしまうのです。しかもその妄想たるや人には決して見せられないようなヒワイかつインランな内容そのものであったのです・・・!
しかし、初雪様はその弛まぬ努力によって「妄想が漏れ出す」という秘密を隠し続けてきていたのですが・・・ある朝、転校生と衝突したことを切っ掛けにその転校生に秘密を知られてしまうのであります・・・。
その転校生のお名前は森口織人様。だだ漏れと言わんばかりの初雪様の強烈な妄想の直撃を食らった織人様の人生は間違った方向に歪みはじめ、それと一緒に初雪様の人生もほの恥ずかしい方向にずれ込んでいくのでありました。
それこそが「森口織人の陰陽道」であったのでございます・・・。

繰り返しますが

作者が重度の変態です。
とにかく、日々妄想を逞しくしている人間にしか辿り着けない地平に作者は既に到達しているものと思われます。なにが変で何が普通なのか分からなくなる程度に作品の中での常識はホウカイしており、

なに、どうという事はないよ。全ては初雪様の妄想の中での出来事なのだからな。

というのを良いことにやりたい放題し放題、時に織人様の妹と初雪様がアヤシゲな関係に陥ったかと思えば、一念発起の浣腸プレイにまで足を踏み入れるという少年少女向けの作品としてはあるまじき所行の数々・・・とても、とても、素晴らしいです。

それに加え

ドクロちゃん時代から培っている奇々怪々な発想力は、時として人間の脳のダメージ限界突破を平然と行います。
ところで、書店でこの本を間違って手に取られた皆様、裏表紙に書かれた得体の知れない存在に気がつきましたでしょうか。黄色くて蕩けていて何とも形容不可能な存在なのですが、その正体は作品の中で明かされます。

「こ、これは——」
答える初雪さんの手の中にあったのは。恐らくゴム製。なにやら黄色いお人形のようなものだった。
「——これは、わたしが、七歳の時に、勒天さんに禁止をされた……」
そして、黒髪少女は掠れた声で、僕に教えてくれたのだ。
「『トケチーズ・アビオニクス研究所』で生まれた溶けチーズ人間、『溶けチーズ浴び男』です」
「は、初雪さん? なにを突然口走っているんですか!? 気を確かに!!」
「だめですだめです止まりません! これは! この手触りは……!」

溶けチーズ浴び男。ダメです。どう考えても脳が通常の位置に存在している人間による発想ではありません。

このような

科学で説明できない事実に直面した時に私は——人間のなんかそういうダメな能力とかモロモロの変態性、美少女とウナギ風呂なんか特にそうですが——脳以外の所からねぢれた知恵が滲み出ているに違いないと確信するのです・・・!
例えばそう、スポーツ元気女子高生のふくらはぎや、OLのパンプスで鍛えられたふくらはぎ、あるいはギリギリランドセルがセーフな感じの少女のふくらはぎなどが特に怪しい部位ではないかと考えており、日々データを集めている最中です。その辺りを走っている神経系にニーソックスやストッキングをプラスするとき、何か新しい刺激が新しい発想を生み出すと考えられるわけです。
そうすると当然のように作者のおかゆまさき氏は執筆活動中にそれらのファッションを再現しているはずであるので、やはり一種の超人、あるいは作家の鑑と言えるのではないかと考えるのであります。

あ、

ところで物語の方ですが、新しいキャラクターなども出てきたりしていよいよ賑やかですし、面白いですよ?
作者は重度の変態ですが。

総合

星4つ?
なんでしょうか。一体何処に行こうとしているのでしょうかこの作品は。
正統派陰陽道についても書かれているような気がしますし、アクションシーンなんかもあったりはするんですが、初雪様の妄想に日々晒されている織人様の陰陽道は、常識と180度違う方向に絶賛爆進中です。火を付けた後に適当に空に放り投げたロケット花火の方がまだ進行方向の予測がしやすいのではないでしょうか。
まあよく分かりませんが、美少女も出るし、なんだか萌えるし、インワイだし、読んで損無しって感じなのではないか、などとついついイケナイコトロに手を伸ばしながら考えたのであります・・・。

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