レイン(1)雨の日に生まれた戦士
レイン〈1〉雨の日に生まれた戦士 (アルファポリス文庫) | |
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ストーリー
大陸ミュールゲニアの南西の外れに位置する小国サンクワール。北方の大国ザーマインの侵略の脅威に怯えるこの国に、一人の奇妙な戦士がいた。名をレイン。戦士としての腕を買われて平民から城を持つ将軍にまで成り上がった男である。
傲岸不遜で王に対しても遠慮をせずずけずけとものを言うレインは一種の厄介者であったが、その力量から排斥されるまでに至らずに将軍職をやっていられるという無頼漢である。
そんなサンクワールに現在明らかな危険が迫っていた。ザーマインがサンクワールを併呑するべく大軍を送り込んできたためだ。その数、およそ四万。国中の兵をかき集めても一万というサンクワールにとってその数字は、国の終わりを意味する数字であった。
奇襲をすべし、という軍議の流れの中、しかし、レイン一人は飄々といつも通りに王に諫言というより文句を言うのであった。
「作戦? 陛下、四万の敵に一万そこそこの兵をぶつけるのは、作戦とは言わぬかと。自殺の方法としてなら、なかなか確実そうですが……」
アルファポリス文庫という
聞き慣れないところから出版された本なんですが、何気に手にとって読んで見たら面白かったですね。
いわゆる剣と魔法のファンタジー+戦記物という感じなのですが、どちらかというと視点が主人公のレインに集中している為に個人の英雄譚という感じになっています。魅力も政治や戦の楽しさというよりは、キャラクターの魅力を引き出す方向に偏っています。
なにしろ主人公のレインがいわゆる超戦士であって、人間離れした強さを誇るキャラクターとして描かれています。
『あの男はドラゴンスレイヤーかもしれません』
なんて記述があるくらいです。「竜殺し」と書かずにドラゴンスレイヤーと書く辺りにこの本のフランクさが出てますね。他にも突然の横文字も結構ありますから・・・シリアスな作品として読むと足許をすくわれるので、かる〜く読んで見るのが良いのじゃないかな〜なんて思います。
その代わり
と言ってはなんですが、キャラクターの魅力はなかなかです。
主人公のレインを初めとして、ヒロインのシェルファ、レインと唯一仲の良い将軍ラルファス、レインの副官のレニにセノア。どのキャラクターをとってみても結構生き生きと動き回ってくれます。
・・・そうですね・・・ちょっと毛色の違う「ゼロの使い魔」だと思って読むと読みやすいんじゃないでしょうか。あの本も色々と適当な所がありますが、このシリーズも似たような適当さがあります。
「今回が私の初陣になるはずだったのに、それなのに、それなのにいぃーーー」
なんて絶叫しているのはレインの副官のセノアですが、まあつまりこんな塩梅です。コメディ要素をふんだんに盛り込んでいるので、緊張感は余りないですね。
まあ
本の面白さというものを一つの側面からはかっても仕方がないので、この1巻をとりあえず読んで見るというのはありかも知れません。
私はこの本の大本の出自を良くは知らないのですが・・・元もとはWeb小説だったのかな? なんか検索かけるとそれらしきものが見つかります。それが一度本になって、さらに文庫化されて・・・という感じになっているみたいですね。
いきなり本を買うのはなんだかな〜という人は、そのWeb版を試し読みして(途中までよめるっぽいです)、それから続きが気になるようなら本を買ってみるというのも手かも知れませんね。