ベン・トー(4)花火ちらし寿司305円

ベン・トー 4 花火ちらし寿司305円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 4 花火ちらし寿司305円 (スーパーダッシュ文庫)

ストーリー

半額弁当を求めて戦うハーフプライサー同好会にも、真夏の季節が、そして合宿がやって来た!
ライトノベルにおいて夏といえば・・・目映いばかりの少女達の鮮やかに弾けるフトモモ、たわわに揺れるムネ、そして豊かに実ったオシリという3点セットが自動的に付いてくるはず——!
しかし。
がしかし。

「山だ」

という水仙の無情なる一言によって、我らが主人公であるヨー・サトウを始めとした読者の期待は無残にも残酷にも非情にも・・・打ち砕かれたのだった。
何の因果か分からないが、真夏に半額弁当を求めて山へと遠征するHP同好会の面々。しかし、我らがヨー・サトウはわずかな希望を胸に戦いの戦場(山地の田舎)へ赴く! まだだ、まだ川遊びがある! 一緒のお泊まりもある! 

「あの、先輩。一つ尋ねたいのですが、ここに泊まるのって僕らだけですか?」
「あぁ。貸し切りだ。管理人もいないから夜に騒いでも誰からも文句は言われないぞ」
……おいおいジョニー。今夜僕は自分のリビドーを抑えきれるかどうか自信がないぜ? いや、だってそうじゃないか。夏休み、うら若き男女がロッジを一つ貸しきってのお泊まりですよ。しかも時期は祭で、近くに泳げる川もある……明日の夜には花火が打ち上がって雰囲気的にも十分ときている。となればもう——。
「……ほほぅ、ロッジ……。助けを求める悲鳴は誰にも届かない……ホッケーマスクを装備した連続殺人犯を追って来たサト……サイトウ刑事だが、そこで犯人に逆に襲われて……」

・・・という感じで始まる4巻ですが・・・えー、山ですか。山なのか。山のなか。うー。

山田

というか山ですね。山って怖いですね。本当に舐めてかかってはいけないところですね。
何故だ? ただ山というだけでこうまでもトキメキを奪い去るものなのか? 一体我ら読者がどれほど残酷な仕打ちを作者に対してしたというのか? 百花繚乱とも言えるこの作品の女性陣の陣容の厚さをまるで無残に引き裂くかのような山とは一体なんなのか? せっかく同好会の面子ではない著莪あやめまでもが参加する合宿だというのに赴く先が山とは何を意味するのか? 僕らは果てしのない理性と野性と山の闘争のただ中にいるのか? 山という存在が我々の平和な季節を吹き飛ばしてしまうのか? なんでだ? 何故、何故、何故——。
・・・とにかく舞台は山なのです。この本をめくるもの、一切の希望を捨てよ。

変態

というありがたい二つ名を頂戴(しかかっている)我らが佐藤洋ですが、今回実はその変態を一手に引き受ける恐ろしい存在がいます。
何気に目立ってこなかった(一部Web上では絶賛有名人)恐るべきハンター・白粉花がその本性を剥き出しにするからです。
山田の呪い、ここに極まれり。山のなかで育まれた頑健な肉体を持った男達の乱舞する姿(ただの祭の御輿担ぎ)を目撃してのヤバいハイテンション、そして書くのも憚られるインモ事件すら引き起こし、さらには新たなる妄想を猛々しく展開する白粉を今回止められるものはいない。というか止める意味がない。

「インモッインモッインモッ!」

未読の人間には決して分からないだろうが・・・極まった変態だ・・・。彼女の前では我々男性は所詮「獲物」でしかないという事実に気がつくだろう。

美乳

なのだそうですよ。槍水先輩は。
・・・確かに我らは希望を捨てた。しかし、魂までも売り渡したわけではない。そうだな?
我らは大地にへばり付きながらも大空を睥睨する者なり! 想像の翼持ちて大空を征服せんとする者なり! ぶっちゃけて言うととにかくお風呂タイムの女性陣の僅かな会話の端々から全てを知り尽くそうと企む者なり!
お風呂シーンにつきものの緩いエロスこそないものの、美乳の一言で我らはどこまででも飛べる——。

——アレアレ? 何、どうしたの? ひょっとして声出さないようにしてるの? ——あの著莪さん、もう辞めた方が……先輩顔真っ赤にして……。 ——アタシはただ年上の先輩の体を敬意を込めて洗っているだけだよ? ——えぁっと、あの……。 ——ねぇ〜、そうだよね、仙〜? —— 著莪、もう……あっ!

「あっ! ふぁあぁ!」

ああ・・・我ら戦士の魂を持った者であれば、このやりとり、そして僅かな喘ぎ声一つで多分手からビーム的なものが出る可能性がある、とだけ書いておこう。さあ、今なら君にも出せるぞ——違う違う、日夜大量生産中の白濁液とは別のビーム的なものだ。

総合

一体何の感想を書いていたのかよく分からないのは確かですが、星5つです。
山という非常にアウェイな環境の中、僅かなエロスを残さず拾い上げようという作者の変態性というか心意気に要注目です。しかも何気にフラグとも言えるものが乱立しているような気がしないでもないぞヨー・サトウよ・・・。
くそう、何故俺の青春時代にはHP同好会が存在しなかったのか? 何故槍水先輩のような存在がいなかったのか? 何故大宇宙の神秘は我々の前に変わらず横たわっているのか? 何故青春は再び巡ってはこないのか? 何故、何故、何故——。
・・・いや、なんというか普通に面白いので読むといいと思う。

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