俺の妹がこんなに可愛いわけがない(4)

ストーリー(あんまり変えてない)

俺の妹は雑誌のモデルなんかをやっていながら成績優秀、スポーツ万能などの機能を兼ね備えた超高めの娘な訳だが、一つだけどうしようもない趣味を(隠し)持っていたのだ。
人はそれを——オタク趣味という。
しかも18禁のエロゲなどを好んでプレイしたりするかなりディープな所まで既に足を踏み込んでいる、一般的にはもう戻れないと思われるところまでドップリとオタクなのだ! しかも最近では兄である俺にエロゲのプレイを強要してきたりもする非常に困った妹だったりする。さらには兄の俺に向かって口を開くときは一言目には罵倒、二言目には暴言というどうしようもなく可愛くない妹でもある。
で、その妹から持ち込まれる「人生相談」とやらは・・・妹の言葉を信じれば次で最後、という事らしいが、その最後の人生相談はなかなか持ち込まれないまま、毎日はドタバタと過ぎていくのだが・・・?
短編連作という感じで語られることになる「困った妹」のお話の第4弾です。

なんというか

主人公(?)であるところの語り部・高坂京介が良い味を出しているなあ・・・としみじみ感じた一冊ですね。
妹の桐乃は何をやらせても人より良い結果を出してしまう「デキるキャラ」でなおかつ基本的にかわいげがない訳ですが、兄の京介の視点が程よく一般人なので、安心して読んでいられるという感じがしますね。
上手く言えませんが・・・特にデキの良くない普通人の兄がいることによって妹・桐乃の存在も引き立つし、デキの良い妹がいることによって兄・京介の存在も引き立つという相乗効果を上手く生み出しているように感じます。
桐乃だったら決して認めないでしょうが、京介がいなかったら絶対にこの話は凡庸な物語で終わったに違いありません。ツマの無い刺身のようになったか、あるいはもっと酷く肉の無い焼き肉みたいになったかも知れません。

ところで

展開の方ですが、短編形式なのですが・・・どれも面白いですね・・・。
どーやら私の場合、短編とかになると評価が厳しめになる傾向があるみたいなんですが、この本は普通に楽しんで読めました。今までに出てきたキャラクターの再登場や再活躍の場を与えつつ、相変わらずの桐乃や黒猫などのやりとりを上手く盛り込んでいるように思いましたね。短編形式でも書き下ろしだと何か違うのかな・・・?
しかし読んでいて妙に感慨深かったのが、1巻の頃には秋葉原に行ったことも無かった(確かそうだよね?)妹が、今やすっかり名実共に濃いオタクとなって秋葉原ならぬアキバで大暴走しているところですね。コスプレイベントを見に行って、大勢のオタクに囲まれているなかで、

「ひゃほー! く・ら・ら! く・ら・ら! ハイハイハイハイ!」
大はしゃぎでペンライトを振り乱す、我が妹の姿があったからだ。ピンクの半纏を羽織り、もう片方の手にはメルルの団扇を持って——完全にオタク集団になじみきっている。

などと「オタ芸」全開バリバリの姿なんかが出てくるんですが・・・いやあ、すっかり立派になって・・・なんだか妙な涙が止まらないような気がします。

全体の芸風としては

相変わらず小ネタを所々に散りばめていたりして、オタク要素を持った人ならどこかで「ニヤリ」とせずにはいられない感じです。
あの小説のタイトルが妙な形で出てきていたり、なんだかいかにもありそうなエロゲのタイトルが出てきたりとか、実際のエロゲの名台詞なんかも出てきたりして飽きさせません。
特に頭がくらくらしたのが「おにーちゃんのぱんつなんか、ぜったい盗んでないんだからねっ!!」という架空の(架空であって欲しい)エロゲが出てきたところでしょうか・・・。あとがきにもちょっと載っていましたが、こういうネタを大の大人がウンウン唸りながらひねり出していたかと思うと、感涙に耐えません。

総合

星4つですね。盤石な印象があります。
ラストでは意外な展開が待っていますが、それがまたワサビのようにピリリと物語に効いていて、今後の事を思わずにはいられませんね。今後の展開はアンケートハガキの結果で変わってくるという話ですが、そうした試みもなかなかに面白いです。
さてさて・・・困った妹の困った相談事はこれから先どうなっていくのかが実に楽しみですね。私としてはここらで一つ大きく方向転換してみるのも良いんじゃないかという気がしないでもないですが、こればっかりはどうなるか分かりませんし・・・一読者として次の話を期待して待つことにします。
ところで、聞いたところによるとついったーで桐乃と黒猫が批評をさらに批評してくれるというドキワクな企画が進行してるみたいですね。自分のこの感想も含めてですが、バッタバッタと容赦なく切り倒していってくれたら楽しいね〜!

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