オウガにズームUP!(3)

オウガにズームUP!3 (MF文庫J)

オウガにズームUP!3 (MF文庫J)

ストーリー

普通の高校生で、しかも地味な生活を送っていたはずの少年がいた。名前は犬伏ユージ。「いた」と過去形になってしまっているのには理由があって、彼が高校一年生にして、既に妻帯者だからである。
妻の名前は井上ククル。一見小学生なのだがれっきとした高校生であり、しかも実は人間でなかったりする。彼女はなんと人間ですらない。オーガ族という鬼の一族なのだ。しかしなんだかんだと色々あって、結局ユージはククルと一緒の生活を送っていた。
意外な切っ掛けを元に、クラスメイトの宮内久美子とも仲良くなることが出来たりして、高校生活を満喫していたのだが・・・?
という感じで始まる学園ラブコメの3巻です。

うーん

以前もこの作者には困惑させられたものですが、この新しいシリーズでも同じ様な困惑を味わうはめになりました。
本編では3つの短編が盛り込まれているのですが、そのうち二つまではいかにもライトノベル的な展開をする作品になっていまして、金髪少女(ククルの関係者)が来訪したり、なぜだかよく分からないうちにクラスメイトの女の子の水着審査をすることになったりします。
まあなんというか・・・この2つの短編まではピントがずれているという印象を受けつつも、ライトノベルとしてありそうな感じなんですが、最後の短編はもう殆ど新キャラ(しかも少年)の恋話になっていまして、読んでいて戸惑いを隠せませんでした。全く別の話を書きたいなら、別の作品でやってくれ、という気がします。
この少年の恋物語を独立した話で読んだら楽しめたかも知れませんが・・・一体どういうつもりでこういう作品構成にしたのかさっぱり分かりません。

そういえば

2巻の時についていたクラスメイト全員のキャラクター表も無くなっていましたね。一応2巻の時に募集したアンケートで今後登場する事になる女の子達を決めたのかも知れませんが、なんというか唐突な印象が拭えませんね。
しかしこの話は本当に一体何の話なんでしょうか? 鬼の女の子が嫁にやって来るところまではある意味新しくて面白かったのですが、巻数が進むにつれてその元ネタはなんだか大した事のない一要素になって、正体不明の方向に迷走しているような気がします。
前のシリーズでも混乱をさせられたものですが、どこに辿り着こうとしているのか分かりません。それをある意味ドキドキしながら楽しむというのもオツなものかも知れませんが、流石に付いていけない感じがします。

総合

星2つにしようかな・・・。
面白いとかつまらない以前の問題として、なんというかこの作者の感性についていけない感じをしみじみと味わうことになってしまった一冊でした。作品タイトルが謎という事を1巻の時に言ったような気がしますが、同じようにストーリー展開にも謎を感じるようになってしまいましたね。
うーん、なんで俺はこの本に金を出してしまったのだろう・・・? いや、金返せとかそういう話ではなくて、この世の不条理を嘆いているとかそんな気分です。もの凄く不思議な気分です。シュール過ぎる作品でしたね・・・。
いや、若い読者はこの展開に付いていけるのかな? 私もいい歳ですからねぇ・・・なんて感じてしまった1冊でした。

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