烈風の騎士姫

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

ストーリー

勇気は無いけれど魔法の才能はあり、そして人一倍負けず嫌いな少女カリーヌは、騎士に憧れていた。
幼い頃、無謀な事をして命を落としかけた自分を救ってくれた見知らぬ騎士の姿に憧れたのだ。彼女は少しでもその勇敢な騎士のようになるために、国でも名高い魔法衛士隊に入団するべく、王国の首都を目指す。
ただし、魔法衛士隊は女の入団は許されない組織・・・そこでカリーヌは自分を男と偽る事にし、名前もカリンと名乗ることにした。・・・幸い、色々とぺったんこな体型だったので少年と言い張ってもばれそうになかったのだ・・・。
しかし、いざ魔法衛士隊への入隊が許されてみると予想以上の問題が発生してしまう。魔法衛士隊の栄光は最早過去の物となっており今では半ば死に体になっていたことと、住む家が無いという理由でいけ好かない上司の男・サンドリオンと同居するはめになってしまったのだ!
実はそのサンドリオンという男にカリーヌは一度決闘をして負けている・・・。いや手を抜かれて”勝たされた”のだった。サンドリオンは色々と気に入らない男ではあったが、腕が立つのも事実。とにかく腕を上げて騎士になるためには今この時は我慢するしかない! もちろん女である事も隠しながら・・・。
という設定で開始される「ゼロの使い魔」のスピンオフシリーズ・・・ですよね?

まあ

どう考えてもこのカリーヌさん、ルイズの母ちゃんなので色々と展開が読めるところが寂しいですが、要は「男装の美しき少女」という設定にどんだけ興奮できるか? っていうことでしょうかね? 試されているんですかね? どうなんでしょうね? まあどっちでもいいんですけど。要するに現代版リボンの騎士な訳ですが。
・・・まあ最近はそっち方面では重症の人も結構いるようですし、それどころか本来あり得ない「男の娘」とかいう日本語がどこからともなく発生してしまうくらいですから、男装している女の子の奮戦記なんて朝飯前よ! という方が大勢いらっしゃるんじゃないかと思います。
でも表紙絵とか見てると、

「どーしてお前らは気がつかないんだコラ」

という気持ちでいっぱいになりますね。まあ「そういう話だから」で終わりなんですが、その、それ短パンっていうかもう半ば下着に見えるって言うか、大切な所からフトモモにかけての微妙なくぼみのラインとか、えー、色々と想像力がかき立てられて兎塚エイジのイラストはなんだかすっごくイケナイなあ! なんて思ったりしますね。

話の方は

特に複雑な所はないです。舞台もトリステインですし。「ゼロの使い魔」シリーズを読んでいる人ならなんら苦労することなく話には入っていけると思いますね。
ただ、やはり平穏無事とはいかなくて、騎士団に関連した陰謀の匂いがそこかしこでしたり、暗躍する危険人物がいたりという感じでトラブル続きではあります。まあ決定的に違うところと言えば、カリーヌはルイズと違って「最初からかなり強い」ところでしょうかね。人並み以上の魔法の才能を発揮して、戦いでも一歩も引きません。
・・・まあ、実は実戦経験はほとんどないので「隠れ臆病」だったりするんですが、そこは「秘密の魔法」を使って勇気を絞り出したりしている潔癖で健気な少女です。正直言うと、私もこんな子とルームメイトになりたいです。なんだか分かりませんが、た か ま っ て き た。

とまあ

そういう話ですわ。新しい環境、新しい仲間、新しい任務。そういったものにカリーヌがどうやって立ち向かっていくか? を楽しみつつ、もう一人の主人公と言えるサンドリオンを見ていく、という感じでしょうね。カリーヌは美少年と間違えられている関係で美姫に惚れられちゃったりもしますしね。お約束ではありますが。
が、恐らくこのシリーズを読むにあたっての最大の障壁はこのサンドリオンですね。十中八九この人ルイズの父ちゃんだと思うんですが、読者の皆様方の心の中には「美少女に手を出す(多分将来的に)野郎は最悪の敵なので死ね」という気持ちが少なからずあると思います。かく言う私もそうですネ。
が、まあ・・・このサンドリオン、それ程悪い奴でもないし、嫌な奴でもないんですよね・・・でも才人のように気に入ったかというと「ちょっとどうかなあ」という感じがしなくもないです。最初からそれなりの腕利きの騎士なのでちょっと読者的には心に距離感があるし・・・しかも知らないとは言え酔っぱらってカリーヌに繰り返し○○してしまったり、ついでに×を触ってみたりとこの野郎死ね、という気分になります。
どっちかと言えば女性の方が受け入れやすい話かも知れませんねこのスピンオフは。

総合

星3つかな〜。
へえ、ここがルイズの生まれてきたANA・・・じゃなかったカリーヌは魅力的なのでそれは読んでいて楽しいですね。起こる出来事もゼロの使い魔が楽しめる人なら安心してストーリーの方は追えると思います。
まあ基本はスピンオフ作品なのでそんな長編にはならないとは思いますが・・・でも書こうと思えば長編がかけそうな雰囲気ではありますね・・・作者はどういうつもりでいるのかなあ。読んでみたいような気もするけれども、うーんどうなんだろ? という気分ではあります。つまりは様子見したい、という事でしょうかね。まあそう考えると星3つは妥当なところでしょう。
絵師は上でもちょっと描きましたが兎塚エイジ氏なので何の問題もないと思います。正直言ってこの人の絵って特別上手いとか思わないんですけど、なんか気になるという不思議な魅力(?)がありますよね。なんなんでしょう? 実は上手いのかなあ?

感想リンク