僕は友達が少ない(2)
- 作者: 平坂読,ブリキ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: 文庫
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ストーリー
聖クロニカ学園には「隣人部」というクラブが存在する。
隣人部はミッション系の上流な校風に相応しい、生徒同士が優雅に親交を深めるサロンのようなもの・・・ではない。色々と訳ありな人間性のお陰で友達がいない負け組系の生徒筆頭の三日月夜空が適当な思いつきで作った怪しげな部活である。で、「僕」こと羽瀬川小鷹は何故か隣人部の創設メンバーになっていた。
作画が崩壊しまくった精神攻撃系部員募集ポスターに隠された「友達募集中」のメッセージに気がついたものだけがその門を叩くという「隣人部」・・・。実は友達いない女王様系ダメ美少女の柏崎星奈を加えて部員数三名となった隣人部だったが、いずれにせよどいつもこいつも頭のネジが弛むどころか曲がって刺さっている終わっている部活だった。
そんな腐った寄り合い所帯のような隣人部に所属する友達の少ない主人公・小鷹に対して、最初はそれなりに同情的な感情を持って接した読者もいただろう・・・が、気がついたら二人の美少女とラブフラグを立てていたりする主人公に対して、1巻を読み終わった時点での読者の視線は限りなく冷え切っていたに違いない。
そしてその冷たい視線はこの2巻を持ってさらに悪化する事確実という展開! アダルティな展開こそないものの、ちょっとした間違いで一部挿入とか起こってもおかしくないような感じ!? いや、ある意味であっちこっちでイチャイチャしまくっている「この感じ」は一部挿入とかよりも羨ましい状況なのかも知れない。
この野郎お前なんかソープ行って汚れてこい! と言いたくなるようなシリーズの2巻です。
リア充といふもの
が実体としてあるとしたらこの話の主人公がまさしくソレであることは疑う余地がない。
恐らくこの本を読了済みの全ての読者がその点については納得していただけるだろう。三日月夜空、柏崎星奈の二人と微妙な関係になっておきながら、この2巻では幼女シスター先生でもある高山マリアに懐かれ、天才科学系腐女子の志熊理科にその遺伝子他を狙われ、前巻からその気配バリバリだった妹である羽瀬川小鳩にくっつかれ・・・という鬼のような展開です。
「……あんちゃんは、うちのあんちゃんなんじゃ……」
マリアと小鷹の間の関係に嫉妬する妹が呟く一言・・・ぬふぅ。
こんな感じですから、共感できたのは新キャラクターの「ワラスボ」と、小鳩が繰り出す必殺技の「羽瀬川菌」というバイオウェポンくらいです。特に後者は(あくまで気のせいだと思いますが)私の深いところにある記憶に引っかかるような気がします。既視感とでもいうか・・・理由は分かりません。「〜菌に感染するー!」とか言われてナニされていたケイケンなぞこのワタシにある訳がないので、恐らく疲れているのが原因でしょう。
そういえば
久しぶりにうんこって沢山書かれた文章を読みましたね。
新キャラのマリアがうんこうんこ言いまくるからですが、やっぱり子供がうんこって言う場合には平仮名で「うんこ」って書かないとダメだよねとか思いました。なんと言いますか、幼女テイストが出ないとでも言いますかね。そしてその逆に大人が発言している場合はちゃんとカタカナで「ウンコ」ってしないといけませんね。おなじうんこなのになんでこんなに印象が違うんでしょうか? どうでもいいですか。
まあ他にもSEXがどうとかセックスフレンドがどうとかレイプがどうとか言いまくっていたりしますが、口に出しているのが大人なので別にどうでもいいです。・・・高校生は大人という認識でよろしいですか?(事業仕分け) あ、一部子供が口走っているシーンもありますがそれは美味しく頂いていますのでお構いなく。
ところで、作中フィクションで必ずと言っていいほど星奈が陵辱されまくるのは仕様なんでしょうか。・・・まあ自分で言っておいてなんなんですが、星奈は「陵辱ウケ」しそうなキャラクターではありますよね。1巻のプールで野郎に絡まれているシーンのハマリ具合と言ったら! 二次元ドリーム文庫だったら確実に強制受胎コースだと思うわけですが・・・MF文庫で良かったね!
ところで
残念なのはこの2巻で普通にハーレムライトノベル化してしまった事でしょうか。
主人公の小鷹なんてもうあらかじめそこに用意してありました〜と言わんばかりに「ツッコミ」の役所に収まってしまっていますし・・・そうなるとどうしても「どこかで読んだことあるな〜」という気分になってしまいますね。
まあ作中では小鷹のダメ野郎である部分も書かれていたりはするので、まだ完全にハーレムラブコメ化はしていないんですが、このまま進んでいくと「女性陣=エロと萌えとボケ」担当、「小鷹=動揺とニブチンとツッコミ」担当という、少年向けライトノベルに良くあるパターンに落ち込んでいって「陳腐化」するんじゃないかという気がします。
まあ学園ラブコメって時点で既に陳腐の極みという気がしなくもないのでそんなこと誰も気にしないんでしょうけど。というか予想外の展開をするラブコメってなんかイヤって言えばイヤではありますね。素晴らしきはマンネリって事なのかも知れません。
そう言えば、ライトノベルの読者って基本的にツッコミ属性の持ち主ですよね。作者がばらまくネタに取りあえず食いつきたくなるあたり、もう間違いないです。まあそれだけ普段ツッコミたくても発言権がなくてツッコミが出来なくてストレスの溜まる環境に置かれているという・・・いや実体験じゃなくて。
総合
星4つだな〜。楽しんで読めましたが印象としては1巻より落ちます。
男女比が1:6になってしまったのがやっぱり大きいですね。・・・そりゃまあ可愛い女の子が沢山出てくる話は好きですよ? でもやり過ぎるとハーレム臭(嗅いでみたいですが)が強くなりすぎて、ユニークさが消えてしまうのも事実ですよね。1巻の面白さって言うのは少ない人数のキャラクターを上手く動かしたところにあるんじゃないかと思うんです。
・・・え、男女比がおかしい? いいんだよアレは女の子だよチンコついてんの誰か確認したのかよ個人的には幸村×小鷹がいいんじゃないかそもそもベッドでの主従関係の逆転にこそ真の萌えがあるんじゃないかってこの野郎貴様と俺は相容れない関係のようだななんだそのカプは。とかそんな感じで。
イラストはブリキ氏ですね。カラーと白黒共に丁寧で好感の持てる仕事ぶりじゃないかと思います。この絵師さんこれから流行るんじゃないかな〜なんて思ってみたりして。