花物語

花物語 (講談社BOX)

花物語 (講談社BOX)

ストーリー

阿良々木暦戦場ヶ原ひたぎ羽川翼という「怪異」がらみの親しい知人達が高校を卒業した後も、下級生である神原駿河の高校生活は続いていく。毎日元気よく走って高校へ登校しつつも、何か複雑な思いを抱えながら神原は高校生を続けている。
自分の手に取り憑いた悪魔のお陰でスポーツをすることも出来ず、かといって勉強に身が入るわけでもないという中途半端な状態のままの日々の中、神原は一つの奇妙なうわさ話を耳にする。
「悪魔様」と呼ばれるその何者かは、相談された悩みを絶対解決してくれるのだという。そこに怪しげな匂いを感じた神原は、その「悪魔様」に会ってみることにする。「悪魔様」に会うために神原が足を運んだその先は――焼け落ちた例の学習塾跡地だった。そこで彼女は意外な人物と再会することになる。
沼地蝋花。かつてバスケプレイヤーとして名を馳せており、神原とは親しくしていたわけでもないものの、旧知の関係だった。しかし再会した沼地の姿はかつて見た姿とは全く違っていた。何よりその足を固めたギプス・・・そう、まるで包帯で固めた神原の左手のように。
たった一人で怪異と対することになった神原。孤立無援とも言える状況の中で、彼女は一体何を選び取るのか――? という感じの新作(もう旧作か)です。今さらの感想ですけどね。

相変わらず

ねばっこいなあ〜というのが第一印象ですかね。
作品の中で神原駿河があれだけ真面目に語ってたのに、あるいはやっぱりこの話のメインとなる新規の登場人物である沼地蝋花があれだけ持論を真剣に語り尽くしていたのに、最初に感じることがそれってどういう事なのよ!? とか言われそうだけども、だからこそというか、なんていうか・・・飽きる? うーん、ちょっと違うな・・・。
なんというんですかね。キャラ立てという意味では上手いというか「そこまで聞いてない」という所まで書いちゃって、恐らく一度きりの登場になりそうというキャラまで、そうとは思えない程濃くしちゃうのは西尾維新的には毎度の事ですが、その辺りは持ち味ですのでまあどうと言うこともないんです。
でも、オッサンがそういう作品読むと胃もたれするんですよな。こってりたっぷりとしていて、肉を脂で茹でるようなヌルヌルの世界へようこそって展開は。味付けが濃いのは歓迎しても、脂っこいのはちょっと勘弁なって感じで、西尾維新って人の作品はどうしようもなく後者なんですよね。でも、だからこそ若者に支持されるのは間違いなさそうです。

こういうの

なんと言えばいいんですかね。
良くも悪くも売れちゃう作家の人って、程度ってものを知らないんでしょうね。気になったらとことん、調べだしたらとことん、書き出したらとことん、みたいな。まあそれが持ち味なので止めろとか言いたいわけでは無いですし、私もちゃっかり楽しんでいる口なんですけどね。でもなんですか、もうちょっとおっぱいとかお尻とかの登場機会があっても良かったんじゃないかとね(え?)。
こんなことだからアニメでも神原の人気とかがイマイチになっちゃうんじゃないの!? とか思ったりするの俺だけっすかね? というか逆に、西尾維新が神原にならんからの思い入れがあるからこういうちょっと重苦しい展開になるのかも知れないですけど。

という訳なので

基本この話は明るく楽しい作品という感じではありません。
阿良々木くん(&読者)から見た神原とは違って、彼女の中身は描写されてきた以上にウェットですからね。まあもったり・ねっとり・しっとりした展開になるのはさもありなんという感じではありますが、そういう意味では予想通りです。
スポーツで発散しているからって色々と溜まってないわけじゃないのよ!? 若いカラダを日々もてあましているのよ!? というのが間接的に良く理解できる(まあ生命力的な意味で)一冊になっていますが、個人的にはその持て余している感じをもうちょっと直接的にムンムンして欲しかったです。が、神原がそれやると出版レーベルを変えないといけなくなっちゃうのかな!? 阿良々木くんを押し倒した挙げ句の果てに気がついたら押し倒されているというのは誘い受けとかそんな感じですか!? なんだか分かりませんけど妄想でどんぶり飯いけそうになってきました。これが二次創作の原動力ってヤツかしら!?
本当はそんなに陽の空気を纏った娘ではないというのが神原駿河という娘ですが、しかし・・・しかしですよ、彼女はそれがアリだと思ったらいつでも全裸になる覚悟の出来ている娘なので、出来ればウチに一度遊びに来て欲しいです。

総合

全体的に面白かったですよ? 星4つの安心クオリティです。
もう一つ陽気な展開を中に入れ込んでくれれば星5つに届いたと思いますが、まあ敢えてこういう作りにしているんでしょうし、これはこれでアリな楽しみ方だと思うので、星の数としては妥当な線じゃないかと思います。
語り部阿良々木暦から変わっているこの新シリーズ(猫物語白からでしたか?)ですが、想像以上に上手くいっていると思います。が、しかしよくもまあこう器用に語り部を変えて本を一冊仕立てられるもんですね。本当に器用な作家だと思いますよこの人は。
でもやたらと阿良々木暦の名前があっちこっちの人から出てくるのは一体何なんでしょうね。卒業までの間に彼は一体何をやらかしたんでしょうか。というか高校の下級生の間にも名前が(良い方向で)広まっているみたいですが、何をどうしたらあのひねくれ者が人気者になるんでしょうかね。畜生・・・ラノベ補正だな!?
まあタイミング的にはラスボスの本を控えてこの際にまとめておこうと思った感想ですが、まあ今さら誰も望んでないような感想ですけどね。なんかこういうのって書いておかないと落ち着かないですね・・・って書いたところで気がついたんですが、まだ書き損ねてる本があるような気がしますね!? うわわわわ、羽川さんに殺される・・・。

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