人類は衰退しました(4)

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

ストーリー:3巻からちょっとだけ変更。

とにかく人類が衰退した未来。
人口も減り、技術も失われた未来世界。人類は緩やかに滅びの時を迎えつつありました。いまや地球は人間の物ではなく、妖精さんたちの住む世界で、元の人類は「旧人類」とでもいう位置となっていました。
主人公はそんな世界で最後の学校教育を収めた「かなり対人関係能力に問題のある」少女。その少女が故郷に「調停官」となって帰ってきたところから始まりました。
「調停官」のお仕事は、妖精さん(身長約10センチ、三角帽子、ちっこい手足)と人間の間を取り持つ仕事なのですが、はて、帰ってきた故郷では「調停官」の仕事などただの閑職に成り下がってしまっていたのです。
そして今の村ではちょっとした食糧危機に陥ったりしていたのですが、そこへ現れた謎の「妖精社」なる会社によるうさんくさい商品の数々! またしても少女は(すっごくいやいや)調査に乗り出すことになるのですが・・・?
なんだかんだ言ってこれで4巻目ですね。この調子で巻数を重ねて欲しいものです。

ロミオチルドレン

というのを試しに提唱してみようと思う。

ジュリエットとの恋がクリスマスイブに劇的に破れた傷心のロミオが遂にキレた!
怪しげな魔道に身を落としたロミオは凄まじい人体実験の果てに、遂に自らを女性化することに成功する! そして単性生殖も成し遂げたロミオから西尾維新奈須きのこ谷川流などが次々と誕生したのだ・・・!
子は子を成し、ねずみ算式に増加していくロミオチルドレンたち。
火は吹くは酸は吐くわ咆哮するわで大地を我が物顔で歩き回り、人間たちを絶滅危惧種に追いやったロミオチルドレン。そして自らの子たちをゆったりと眺めるロミオの目には、満足げな光が宿っていた・・・。

・・・ロミオ違いな挙げ句の果てにバイオハザード的な何かになっちゃいましたな。

ま、とにかく

「人退」(作者専用略称だそうです)の4巻な訳ですが、相変わらずのユルユルのテンションですね。
それでもちゃんと物語として読めるから不思議です。つーか、こんなこと突然言うと変な感じですが、この人天才なんじゃないですかね? え、今更何いってんの? って感じですかそうですか。
物語の作り出しから語り口、そしてキャラクターから締めくくり方まで、とにかく非凡なものを感じますね。非凡すぎてなんか平凡に見えるくらい非凡です。凡凡な結果非凡とか。なんだそれ。
とにかく形容に困る才能の持ち主だという事だけは確かだと思います。ちょっと変態気味ですが。

ところで

話の方ですが、相変わらず主人公がムチャ言って、妖精がムチャに応えてしまって、結果主人公もムチャすることになってという泥沼型の展開をしていきます。

チキンたちが一斉に微動します(短く叫んだというニュアンス)。
「$$!(字幕:非難!)」
「&&&!(字幕:神聖なる排泄物!)」
「#%$!(字幕:交尾!)」
「*!(字幕:肛門!)」
「%&!(字幕:メス犬!)」
……うまく翻訳できていないような。

・・・いや、こんなところ抜き出したって一体全体なんのことだかさっぱり分からないとは思うんですよ。思うんですが、それでもやっぱり抜き出してしまったりして。そもそもチキンってなんだよ?

『せかいは、こんくりーとじゃんぐるです。きずなはこわれ、こころかわくのです。ほっとちょこれーとのむと、ほしつせいぶんもどるですけど、さいきんちょっとおあずけですね? ここねあかぎれ、とまらぬです。つかれたですので、ぼうめいきぼう。とおいどこかへ、いきたいきもち。さしだしにん、ぼくら』

もっと訳が分からなくなったような気がしますが、この際ここの読者がどんな気持ちでこの辺りを読んでいるかとか想像するのを止めましょう。どうせ田中ロミオですからして、予想を越えるというか予想するだけ無駄なのは間違いない訳ですし。
しかしなんですな。妖精さんの大群が欲しいですねえ・・・特に仕事が忙しいときとかなんかに。

総合

★★★★。
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おっといけねえチキン語で喋っちゃったよハハハハハハ! ま、評価としては安心の出来だという事だけは伝えておきます。3巻みたいな生命危機付きの大冒険は無いですが、今回は妖精成分特盛りでお送りしてくれるので、妖精ファンの人は必見です。しかし失禁するのだけはなんとかならんか。
あとがきによるとロミオさんはまたしてもPCゲームを作っているようなので、なんとなくそっちも気になってしまった私ですが、新作に手を出す前に「最果てのイマ」やれって話ですかね。
あと一つ大事な事を言っておかないといけませんね。このシリーズ、イラストとのコラボレーションレベルが非常に高く、それだけで楽しいです。本当に絵師である山崎透氏(とあと編集者?)は良い仕事をしていると思いますよ。とにかく読んで見たい「ネガティブ絵本」。

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