DADDYFACE

DADDYFACE (電撃文庫)
DADDYFACE (電撃文庫)伊達 将範

メディアワークス 2000-03
売り上げランキング : 328650

おすすめ平均 star
star設定がお馬鹿で笑えた
star年の差9歳の親子!
star年の差9歳の親子!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

もの凄く今さら感はありますが、アクションファンタジーの名作を一つ紹介と言うか感想です。

ストーリー

世界に埋もれた神秘を掘り当て、お宝を探しまわる”トレジャーハンティング”。その業界で一人の恐れられる「ダーティ・フェイス」と呼ばれるトレジャーハンターがいた。世界を股にかけて活躍する最高に腕利きだが正体不明の一人のトレジャーハンター。しかし、その顔も年齢も国籍も性別も不明。そのため人々は彼を「人前に出せない程の醜い顔に違いない」つまりダーティ・フェイスと呼ぶ。彼はあらゆる武器、兵器、情報を自由に操り、そして伝説の武道・九頭竜を極めた恐るべき人物としてトレジャーハンターの中で半ば伝説と仮していた。
・・・所変わって日本の大学、一人の貧乏学生がいた。その名前は草刈鷲士。本当に貧乏なとにかくみすぼらしい青年である。その鷲士の元に一人の美少女がある日突然現れる。その娘はなんと自分を「鷲士の娘」と名乗るのだが・・・年の差9歳という恐るべき親子が巻き込まれる奇想天外な冒険アクション、開幕!・・・とか、そんな感じでしょうかね?

どんな感じ?

高いレベルでまとまった冒険アクション小説と言えるんではないでしょうか? 読んでいなければ読まねば損です。お楽しみ要素は幾つもありまして・・・。

  • 激しく金のない(バイトで学校に来れない程の)鷲士の今の貧乏生活とごっつい過去
  • 鷲士になぜか猛烈に懸想している(と思われる)同じ大学のミス・キャンパスの美女・麻当美貴
  • 麻当美貴の鷲士に対しての(本人には周到に隠された)強烈なデレデレっぷり
  • 鷲士の娘と名乗る結城美沙ファザコン)とのどたばた親子関係(六畳一間の暮らし)
  • 鷲士の息子と名乗る結城樫緒ツンデレ少年)との結構真面目な親子関係
  • ミュージアム”と名乗る謎のトレジャーハンティンググループの暗躍

などなどなど・・・微妙な緊張関係を維持しつつ結構色々と詰まっている訳ですが、ごちゃごちゃする事無く、結構上手い具合に纏まっています。そして最も大事なのは草刈鷲士の周りに姿を現す「ダーティ・フェイス」とは一体何者なのか? といった辺りですが。まあそれは本編で。

アレに似ているところがあるかな・・・でも

ええつまり菊地秀行の「エイリアン(トレジャーハンター)シリーズ」ですね。「ダーティ・フェイス」の活躍はまさしくエイリアンシリーズの八頭大そのままですし、ストーリーも色々と参考にしたところがあるんだろうなあと読んでいて思ったりもするんですが、じつはパクリとかそういう事は元のエイリアンシリーズを耽読した私も特に思いませんでした。
作者があのシリーズを読んでいる事は間違いないと思うのですが、作者の脳中で完全に消化されて出て来たのがコレだなあという感じです。上手い事消化して、現代的な要素を詰め込んで、ネタをかぶせるようなところがありつつもオリジナリティを出したり・・・といった感じで全く問題なく楽しめます。というかエイリアンシリーズを読んで楽しかった人は、こちらも読まないともったいないのではないでしょうか?
ちなみに冒頭の少年少女二人のナニのシーン(実際にイタしているシーンの描写はない)がエロいという人がいたりしますが、その発想は正直無かったわ。まあ微妙に微笑ましいとでもいいましょーか。

結論ですけど

星4つ! 星4.5くらいでしょうか? 人によっては十分5つになりそうな本ではありますね。ただ、やっぱりエイリアンシリーズを読んでいると何となく既視感を覚えるのも事実でして、そこら辺りが個人的な減点材料でしょうか。でも楽しいですよ。これは続刊が出ていますが、1冊で完結しているので試しに読んでみるのも良いかも知れません。
イラストは、何となく古さを感じる絵柄ですけど、個人的に好きですね。なんか分かりませんけど特に白黒の本編イラストは味があるというか・・・。
(追記)絵師の西E田氏のオフィシャルサイトをみたらあまりのエロさに感動しました。えっちなのはいいとおもいます!