コピーフェイスとカウンターガール(3)

コピーフェイスとカウンターガール 3 (ガガガ文庫)

コピーフェイスとカウンターガール 3 (ガガガ文庫)

ストーリー

天体観測部という部活に高校生である平良良平は所属していた。しかし、その良平も高校を去るときがやって来る。受験も終わり、東京の大学に進学することが決まっている良平は、あとは卒業するのを待つばかりとなっていた。
そんな折、クラスメイトから卒業旅行に行かないか、という誘いを受ける事になる。聞けばそのクラスメイトは本当は最近出来た彼女と二人っきりで卒業旅行に行きたかったらしいのだが、彼女の両親が非常に厳しいと言うこともあって二人っきりでの旅行は諦めたらしい。そこで、良平と良平の後輩である女の子の早川早希を誘ってグループ旅行ということにしてなんとか誤魔化そうとしているらしいのだ。
都合良く利用されることに難色を示していた良平だが、新しく暮らすことになるアパートを東京に探しに行っている最中に、何故かその卒業旅行に参加することになっていることを知る。どうやら、また「コピーフェイス」達が暗躍しているらしい。事情を説明するのも面倒なので、旅行に付き合うことにした良平と早希だったが、旅行先には早希の姉の早川早苗までもが現れ、さらには旅行先の島がコピーフェイス達に占拠されているという状況だった。
果たして良平と早希の旅行はどうなってしまうのか? そして奇妙な恋の行方は? という完結編です。

うう〜ん

なんか読んでいて気持ちよくなかったなあ・・・。
序盤から中盤まではクラスメイトのカップルが妙に空気が読めなくてうざったくて、しかも良平のはっきりしない態度にもイライラして、読んでいて楽しい気分にほとんどならなかったな。
いや、ネタもストーリー展開の思い切りも悪くないと思うんですよ。でも細かい心の機微を無視しまくっている友人カップルは邪魔くさかったし、流されっぱなしで主体性の感じられない良平にも共感できなかったという所です。ダブルデートを書いた物語で、どちら側に視点を置いても相手側のカップルがうっとうしく感じると言えば分かりますかね? 水と油が一緒に仲良く旅行なんて出来るわけがないというか、無理がありすぎるというか、そんな感じです。
ぶっちゃけていうと、この話を作るのに友人のカップル必要だったかなあとか思うんですけどね。二人をくっつけようとする勢力はコピーフェイス軍団だけで十分だと思うんですけど、どうですかね。
とにかく、もうちょっと上手い物語の導入があっても良かったんじゃないかと思います。

でもまあ

微妙かつ繊細な心を持った良平と早希という二人の恋物語としてはありだとは思います。
ありだとは思いますが・・・うーん釈然としない。結末には納得がいったけれどもその過程が腑に落ちないというか・・・若さが全くないというか・・・なんでしょうねこの違和感は。
例えば・・・彼女(または彼氏)を切実に欲しいと思っていない人が、人に言われて無理矢理恋愛をしようとしているという感じの奇妙な達観があるというか、あるいは普通の恋愛の型にはまらないタイプの人間が「恋愛とはかくあるべし」という型にはめられて窮屈な思いをしているというか、そんな感じの不自由感があるんですよね。
恋愛って沢山の不自由を感じるものだとは思うんですけど、自分の在り方をまるっきり変えてまでするようなものじゃないと思いますし・・・普通の恋愛ってなんですかね? 普通の恋愛ってあるんですかね? なんて思ったりしました。
まあ最終的には最適解が出たようなので水に流しますが・・・どうも消化不良感が残りましたね。見せ方が上手くないような気がします。

総合

星・・・3つだな・・・。基本的に嫌いなタイプの作品では無いのですが。
どうも作者の精神と私の精神が半歩だけズレているようで・・・まあ今まではその微妙なズレを楽しめたんですが、今回は悪い方向にズレが当たったというか、そんな感じでしょうか。つまらないとは言わないけれども納得は出来ない、そんな所でしょうか。
うーん、やっぱり個人的にはもう少し主人公二人の心が自発的に自然に動くのを見たかったなあという気がします。だって恋って人に言われてするものじゃないでしょう? 恋人関係になるのだってそうですよね? 誰かにそそのかされての結末は後味が悪いですよ。
服を買いにいって押しの強い店員に薦められるままに買うことになった服を家で眺めているみたいな気分です。気に入っていたはずなのに、何故か買わされた感じがして気分が悪い・・・そんな感じでした。

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