R-15 ようこそ天才学園へ!
R-15 ようこそ天才学園へ! (角川スニーカー文庫) | |
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ストーリー
私立閃学園は一芸に秀でたものばかりを集めるかなり変わった学校。そして芥川丈途(あくたがわたけと)は十五才ながらもプロとして活躍している文学的な才能を認められ、この度めでたく学園に入学を許されたのだった。
そして丈途の文学的才能は・・・なんとポルノ小説方面にのみいかんなく発揮される類のものであった!
とにかく暇さえあればポルノ小説を書いてしまう程の迸る才能を片手に学園に入学した丈途だったが、入学してみれば周りもみんな一芸に秀でた・・・というかかなりの変人揃いばかりの学園ではあったが、何から何まで「そっち方面」に活用してしまう丈途の能力は女生徒に毛嫌いされることに・・・それどころか入学早々女子寮ののぞきの犯人容疑までかけられてしまって、丈途の前途は波瀾万丈。
さらには生徒の天才性だけを求めるようなクラス対抗オリエンテーションまでも開かれることになり、なんだか分からないうちにまとめ役として祭り上げられてしまった(面倒ごとを押しつけられたとも言う)丈途の日常は得体の知れない方向へと転がっていき・・・?
という感じで進む学園コメディーの1巻です。新人さんですね。
アイデアは
悪くないと思うんですよね・・・。何しろ主人公が現役かつ今をときめくポルノ小説家というのは。
周りを固めているキャラクターも数学に類い希なる才能を発揮する円修律(えんしゅう・りつ)という少年やら、何かと言えば怪しげな写真を撮ろうとする奇才の名機来夏(めいき・らいか)という少女やら、プログラミングの才能を買われた少女・霧線蘭(むせん・らん)やら、音楽の才能を認められた少女・鳴唐吹音(なるから・ふくね)、などなど・・・変な特徴を持ったキャラクターが目白押しではあって、目を引くものはあるんですが、それがいまいちピンと来ないんですよね・・・。
各キャラクターの天才性を上手く表現できていないというか・・・いや、一応それらしく書かれてはいるんですが、もう一つ、なんとなく、どことなく「食い足りない」とでも言いましょうかね。
ストーリー展開は
クラス対抗オリエンテーションというのを中心に持ってきて、その中で七転八倒する丈途を生暖かく見守る感じで進むんですが、うーん、動機付けが微妙に弱いというか、キャラクターの持ち味を生かし切っていないという感じはしますね。
魅力的な本であれば二、三も本文を引用してその楽しさを伝えたくなるところですが、この本にはその魅力がありません。・・・天才少年少女達をメインキャラに据えたのは正解かもしれませんが、「天才」という言葉だけが先行してその実が伴っていないんですよね・・・もっとぶっちゃけて言うと、天才を表現するにはこの作者は筆力が足りない! という残酷な現実があるような気がします。
タイトルは
「R-15」となっていますが、実際のところは「円環少女」あたりの方がよっぽど「R-15」なような気がします。
・・・書いていて気がつきましたが、つまりは天才に付きまとっているはずの「変人性」とでも言うべき尖った部分がまだまだ足りないんですよね。凄い凄いと書かれても、その才能を小難しい言葉で説明しても、作品としての完成度には関係が無いとでも言うべきでしょうか。
うーん、上手く説明できませんが・・・コメディに逃げた(?)のがある種の敗因かも知れませんね。いや、勝手に負けたことにしてもしょうがないですが、少なくとも私という読者の心は掴みきれなかったかなあ・・・。