灼熱のエスクード MATERIAL GIRL
灼熱のエスクード―MATERIAL GIRL (富士見ファンタジア文庫 132-7) | |
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お爺ちゃんの語る思い出話風のストーリー紹介
「その昔な……『煉獄のエスクード』というファンタジー作品が富士見ファンタジアという出版社から出版されておってな。
そのシリーズは魔族を猟るための剣・ブラディミールに魅入られた若者の深津薫(ふかつかおる)がエスクード<盾>と呼ばれる戦士になって、レイニーと呼ばれる妖艶で年齢不詳の美女に導かれながら魔族と戦うという話だったんじゃ……。
この話に出てくる魔族はいわゆる吸血鬼のような性質を持った化け物での。主人公の兄貴分とも言える若者もその毒牙にかかり、魔族の走狗に成り果てていたりするんじゃが、薫はそういう潜在的な敵を含めて戦いを続けるんじゃよ。
そうそう、ルーシアという二重人格の訳あり魔法使い少女も出てきおったな……懐かしいのう……そういえば、どこにしまったかのう」
(お爺ちゃんはおもむろに立ちあがると書架でしばらく本を漁っていたが、目的のものが見つかったらしく、一冊の古ぼけた本を取り出した)
「これじゃこれじゃ。あの頃は儂もまだまだ若くての、当時ブログと呼ばれたインターネットの……インターネットは歴史の教科書で聞いたことがあるかな? そう、それじゃよ。それで本の感想を書いていたりしたんじゃが、その時に感想を書いた本の中に、この『煉獄のエスクード』というシリーズがあったんじゃよ。そうか、この本の作者は、まだ生きとったか……! しかも続編とはな……! 長生きはするもんじゃのう……」
という感じのシリーズです。
えーっと
・上の小話でなんとなく私の気持は判ってくれると思いますが、半端に待たせ過ぎです。
・表紙の人が誰だか分かりません。レイニーとか言ったらかじります。
・レイニーさん、ちょっとなんだか薫がアレな感じですか? それはそれで夢が広がります。
・薫くん、全然成長してないどころか、キレやすい若者になって帰ってきた印象すらあります。
・薫くん、今回ほとんど見せ場が無いじゃないですか。
・薫くん、時間とともに若返ってます。このイラストなんとかならんか。
・ルーシアさん、イラストは変わっていますが性格はそのままなので安心しました。
・ルーシアさん、基本的に貴女がこの本の登場人物の中で一番好きです。
・真澄さんは、ガチホモ。
以上です。
冗談はともかく
基本的に安定したストーリー作りで無難に楽しませてくれます。
全体で見た場合、今回は物語に疾走感がありましたが、そのせいでちょっと性急な語りになっていたような気もします。舞台が一転二転するのも悪くは無いのですが、うーむ・・・個人的にはもうちょっと厚みを出して上下巻構成とかにしても良かったような気がします。
あと変な所ですっごい気になる文章を発見しました。冒頭ですけど。
遠い空から聞こえてくる爆音がジョシュの言葉をかき消した。闇を切り裂いて姿を現した航空機はふらふらと不安定に翼を揺らし、いつ墜落してもおかしくない様子だ。ジョシュは片手を挙げた。部下の兵士たちが一斉に走り出し、ぐるりと輸送機を取り囲んでライフルの銃口を向けた。
いつの間に着陸しましたか。
・・・ま、こんな描写があったんで「もっと濃かった描写を削ったのかな・・・」なんて思ったりした訳ですが。
総合
星3つ。
うーん、嫌いではないですが今イチ主人公君が動ききらないのでノリきれませんでした。
レイニーやルーシアや真澄(キライですが)のキャラ立ち程には主人公の薫のキャラが立っていないので、どうしても芯のない印象を受けてしまいます。これはなんというか・・・ちょっと致命的とも言える部分じゃないかなあとか思いますね。
彼がもう少し動いてくれれば、もっと面白くなりそうな話なのに・・・ストーリーに貼られた伏線(妄想の種ともいう)も良く考えられていていいなあ・・・と思うので凄く惜しいと思いますねえ。あともう一つあれば星4つは固いのになあ。
それにしてもともぞ氏のイラストはなんとかならんかったんだろうか。変わりすぎてほとんど全員が別人です。